趙軍に追われながら秦脱出を図る嬴政を、闇商・紫夏が身を挺して助けます。9年後王宮では、大王・嬴政の命を刺客が狙う。刺客の中に伍の仲間・羌瘣の姿も。
映画・キングダム 運命の炎編で話題になった、「政と闇商・紫夏の悲しい物語」が描かれる第8巻のあらすじや感想を調査しました。
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- 政は闇商・紫夏の尽力で趙から秦帰国
- 政は虐待のトラウマで一時心も失う
- 政を暗殺する刺客の中には羌瘣の姿も
キングダム8巻ネタバレあらすじ・表紙も確認！
| 作者 | 原泰久 |
| 出版社 | 集英社 |
| あらすじ | 敵国趙で生まれた政は幼い頃から凄惨な 虐待を受け、トラウマから心を失う。 闇商・紫夏の優しさで心を救われた政は 秦に帰国するが、道中紫夏は絶命してしまう。 9年後王宮では再び政の命を狙う刺客が現れる。 その中には、伍の仲間・羌瘣の姿も見られた。 |
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敵国・趙に産み落とされた秦王
紀元前262年秦と趙は、「上党」の地を巡り長平で激闘を繰り広げていた。大将・趙括を討たれた趙軍は、約40万の兵が降伏。しかし秦将・白起は、降伏した40万人の趙兵を生き埋めにしてしまう。
未曾有の大虐殺は歴史に深く刻まれるとともに、趙人は秦人に対し深い憎悪を抱く。しかもこの惨劇のわずか数ヶ月後、よりによって趙の国都・邯鄲に秦の王族の子・政が誕生してしまう。
9年の年月が流れ、邯鄲では政を秦へ脱出させる計画が動き出す。
秦の人質として趙に囚われる政は、酷い虐待を受けながら生活していた。仕送りが途絶え飢えを凌ぐために盗みを働いては見つかり、趙人から長平の恨みをぶつけられる日々。その目からは、深い闇が滲み出ていた。
政の秦脱出任務を道剣から依頼された闇商・紫夏は、仲間の江彰と亜門から反対される。しかし紫夏は、かつて荒野で餓死寸前だった孤児の自分たちを救ってくれた義父への感謝から、この任務を引き受けることを決める。
関所抜け
ついに動き出した政脱出計画だったが、秦へ辿り着くには関門を5つ潜り抜けなくてはならない。関所抜けは難関かと思われたが、闇商・紫夏の入念な手回しのお陰で難なく一つ目のすり抜けることに成功。
二つ目の関所へ向かう一行だが、政は気を失い様子がおかしい。とはいえ、一刻も早く秦へ帰らなければならない一行は先を急ぐ。
二つ目の関門で手間取っていると、偶然政が隠れる俵を弓矢で射ちぬかれてしまう。俵から血が流れるも、なんとか関所を通過することに成功。俵を開けると、そこには腕を射ち抜かれた政が微動だにせず入っていた。
この常軌を逸した光景に違和感を覚える紫夏は、政の心身に異変が起きていることを確信する。
狼煙が上がりついに政失踪が発覚したが、一行は間一髪最終関門を通過していた。喜びも束の間、趙の騎馬隊に追いつかれる前に全速で国境を目指すことに。
虐待のトラウマ
いよいよ帰国が近づくが、政は虐待のトラウマから幻覚に怯え始める。荷台を飛び出した政を追いかける紫夏に、「俺は秦へは帰れぬ」と言い放つ。
そして自らの腕を木で貫くと、「痛みがないんだ！」「味もっ 匂いも 暑さも 寒さもっ」「俺は もう何も感じないんだ 何も」と訴える。
かつては王族の名誉に心震えたが、一歩外へ出ると秦への憎悪が容赦なく降り注がれる。そのため、幼い政は希望の光を見失っていた。抗えない不運によって過酷な人生を歩んできた政に、紫夏は「大丈夫 私がついています」「一緒に 秦へ帰りましょう」と優しく諭す。
迷う政だったが心の闇は深く、再び亡霊の幻覚に襲われる。「俺はこいつらから逃げられない」と諦める政を、紫夏は「しっかりしろ！」「全部たたの幻だ！」と叫び深く抱きしめた。
政を連れ戻した紫夏は、再び全速力で国境を目指す。しかし、早くも騎馬隊に追いつかれてしまう。
決別のとき
崖上からも騎馬隊が押し寄せ、亜門は体当たりで紫夏を守る。昌文君の待つ合流地・赤松の池までおよそ二刻と近づくが、騎馬隊はもうすぐ後ろまで迫っていた。
諦めかけた一行だったが、政は「あきらめるな！！」と檄を飛ばす。紫夏に「早々にあきらめるなんてお前らしくないぞ」「俺を秦へ連れていくと言っただろう」と言う姿には、もはや虐待によるトラウマの影はみられない。
騎馬隊に応戦する道剣だったが、一点総射を受け絶命。残るは、江彰・紫夏・政の3人だけとなってしまう。もはやこれまでかと嘆く紫夏だったが、前方に砂煙を見つける。
秦軍の迎えが迫っていることに気付くと、紫夏は政に御を任せ「最後まで力を尽くすんです あきらめずに」と覚悟を決める。ついには江彰も討たれてしまうが、それでもなお紫夏はあきらめない。
細い腕で弓を引き、手を射ち抜かれると剣で応戦して必死に政を守る。秦兵の姿が見え「がんばれ 紫夏もう少しだっ」と政は叫ぶが、ついに紫夏は全身を盾にして騎馬隊に立ち向かい槍で貫かれてしまう。
紫夏の決死の攻防で、間一髪昌文君ら秦軍に助けられた政。瀕死の紫夏は、政に「あなたは誰よりも偉大な王になれます」「ああ つきものはおちましたな～ 瞳が・・・何とも 美しい・・・」と最後の言葉を遺す。
紫夏が息を引きとり昌文君とともに国境を越えた時、政は左手に激痛が走り「痛み」を取り戻した。もちろん、嗅覚・味覚・心も全て戻すことができた。
政の刺客・羌瘣
蛇甘平原の戦いで功績を残し百将に昇格した信は、甲冑を買うため貂とともに市を訪れる。しかし、冷やかしと勘違いされ、誰からも甲冑を売ってもらえない。
ふてくされる信だったが、田有と偶然再会したお陰で無事甲冑を手に入れることに成功。小屋に戻る信と貂の前に、羌瘣が現れる。
その夜王都・咸陽では、「昌文君の協力者11人」が同時に刺客に殺される異変が起きていた。その刺客の中には、蚩尤・羌瘣の姿も。
刺客の目的が解らず慌てる昌文君のもとへ、肆氏が訪ねてくる。そして、殺された協力者は王宮関連の任を持つ者ばかりで、真の狙いは大王・政であることを気づかせる。
王宮では刺客が政に迫るが、そこには肆氏に招かれた信と貂の姿が。次々と刺客をなぎ倒す信の側を離れた貂は、刺客・赫力たちに捕まってしまう。すると、そこに羌瘣が姿を見せる。
貂をよこせと言う羌瘣を逆に襲おうとする赫力たちだったが、一瞬にして斬り捨てられてしまう。化け物じみた強さに、赫力たちは恐れおののく。
キングダム8巻感想・考察
趙の騎馬隊から逃げる最中、心を取り戻した政は「あきらめるな！！」と皆に檄を飛ばします。これまでの様子とはうって変わり、いきなり別人のような政に皆は驚きます。
この時から既に、後に反乱軍との戦いで気力を失いかけた山の民軍が、政の檄で再び士気を取り戻す「王としての資質」を兼ね備えていることがわかります。
王宮で異変が起きはじめると、反乱軍の敵陣営にいた肆氏が訪れ本当の目的を気づかせます。敵ながら、優れた人材である肆氏。政はそれを見抜いていたため、反乱軍鎮圧時も処罰しなかったのでしょう。
政・肆氏ともに秦国にとって「なくてはならない人材」であることは、間違いありませんね。
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