李牧と呂不韋による秦趙同盟は、王騎の死からわずか一年で成立。魏攻略に向け、飛信隊と玉鳳隊の激しい武功争いが始まる。
信の同世代のライバル、玉鳳隊・王賁や楽華隊・蒙恬が初登場する第17巻のあらすじや感想を調査しました。
これから初めて読む人、最新刊に備えて復習したい人はぜひ最後までご一読ください。
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- 李牧と呂不韋は秦趙同盟を結ぶ
- 李牧は飛信隊・信の存在を認識
- 後宮・政の母太后が第三の勢力に

キングダム17巻ネタバレあらすじ・表紙も確認!
作者 | 原泰久 |
出版社 | 集英社 |
あらすじ | 王騎の死から一年、李牧と呂不韋の差し金で 秦趙同盟を結ぶことに。 祝宴の席で信と遭遇した李牧は、その存在を 周知していることを伝える。 一方魏侵略前哨戦では、飛信隊と玉鳳隊が 激しく武功を争っていた。 その頃咸陽では、第三の勢力・後宮が政陣営 と接触を図る。 |
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李牧、咸陽へ
王騎の死から一年、前線地帯では三百人隊になった飛信隊が一際躍動していた。特殊部隊のままどの軍にも属さず勝ちを積み重ね、飛信隊と信の名を前線で轟かせ始める。
その頃咸陽では、趙の宰相・李牧の来訪で騒然としていた。
昨年の秦趙対戦後の来秦は異常事態であり、この状況を生み出したのは他ならぬ呂不韋であった。しかも趙王の寵愛を受ける春平君を拉致し、返還の条件として宰相自らの迎えを脅迫していたのだ。
臣たちに来秦を止められる李牧だったが、咸陽と呂不韋を見るいい機会だと聞き入れない。
王宮へ呼ばれ急ぎ駆け付ける信と羌瘣に、軍総司令昌平君は李牧の暗殺を命じた。無論断る信だったが、「お前が切らずとも他が切るぞ」「子供じみた感情は捨て去れ」と言われてしまう。
ついに本殿へ現れた李牧を、呂不韋が出迎える。李牧を目の前にし、強烈な武の匂いを感じる信。そして、”とんでもない数の戦場をくぐり抜けてきた”と確信する。
李牧の存在にたじろぐ秦側だったが、趙側もまた呂不韋の大きさに圧倒されていた。他愛もない会話を交わす呂不韋と李牧だったが、「やはり李牧殿にはここで死んでもらう」と呂不韋は突然切り出す。
一方の李牧は、「我々が無事に帰れるように私は手土産を持参しました」と地図を持ちだした。
そして秦が中華制覇を目指しまず韓を落とそうにも、趙と魏が大軍を興し援軍を送るため不可能だと断言。そのため、まずは魏を攻めるべきだと説く。そして魏攻めの際、趙は魏を助けないと李牧は約束する。
その見返りとして、趙が隣国・燕を攻める間”決して趙を侵略しない”ことを条件として突きつける。
つまり、秦趙の間の同盟を提案したのだった。
馬陽を戦った録鳴未は激怒するが、昌平君は悪くない提案だと思案する。しかし、呂不韋は「断る」と拒絶。そして、「城でも一つおまけしてくれぬか」と交渉に臨む。
趙南西部の韓皋を例に挙げるが、そこは李牧が宰相に就任してすぐに一帯防衛の強化に着手した城だった。仮に攻めとるなら莫大な時間と金・兵が犠牲となるが、ただで譲れという呂不韋。
韓皋ではなく屯安を提案する李牧であったが、韓皋の価値を鑑みると城十個は必要とふっかける呂不韋。「残念ながら 値切れる気が全くしません」と答えた李牧は、韓皋を譲ることを約束し秦趙同盟は成立する。
秦趙同盟の祝宴
秦趙同盟を祝し、絢爛豪華な宴が開かれる。出遅れた信は空いている席に座るが、李牧に「そこはまずいと思いますよ 丞相殿の席だからね」と忠告される。
李牧を目の前にし、思わず構えてしまう信。王騎の側近らも好き勝手に暴れ、蒙武は酒を飲み干すと退席してしまう。
昌文君が信を呼びつけると、李牧は「ひょっとして飛信隊の信ですが?」と呼び止める。「何で俺のこと知ってんだよ」と驚く信に、「知らないはずないでしょう 趙将・馮忌を討った特殊部隊とその隊長の名を」と李牧は答えた。
諜報部員から信が王騎の矛を受け取ったことを聞いていた李牧は、「残念でしたね 今回私がここで死ぬことがなくて」と挑発。信は負けじと、「お前をぶっ倒すのは この飛信隊の信だ」と宣言する。
祝宴で宣戦布告し昌文君に激怒される信だったが、李牧は「つい大人げなくからかってしまったのですが まんまときれいにやり返されました」と笑みを浮かべた。
五年
秦趙同盟が成立後、信と貂は王宮で政と再会。「お前の存在感全く無かったぞ」という信に、「そう見えたなら成功だ」と答える政。後に李牧が強敵となることを予想する政は、内面を悟られぬよう存在を消していたのだ。
昌平君の軍師学校に入ったことを謝る貂だったが、その経緯を知る政は「何も気にすることはない」と気遣う。
そして政は二人に、「俺に残された猶予は五年しかない」と告げる。五年後の”加冠の儀”を迎えるまでに、必ず呂不韋が政陣営を潰しに来るためだ。※加冠・・・元服。成人として認められる。
貂は政陣営が呂不韋陣営に対抗するには十年かかると訴えるが、五年で潰しにくる以上戦うしかないと政は断言。そして政は「五年で将軍になれるか?」と信に問う。
特殊三百人隊・王賁
魏の攻略戦のため、山陽に侵略し周囲一帯二十の城を一気に奪い取る”大戦略”が咸陽で打ち上げらたと壁から聞かされる信。
小さな戦ばかりで不貞腐れる信だったが、”魏攻略が始まるまでの一年間に武功を積み重ねることで、少しでも良い配置で本戦に挑む”よう壁に叱咤される。
数日後信たちがいる前線で大きな戦がおき、手柄を上げようと息巻く飛信隊。しかし、本陣にたどり着いたとき既に現場は壊滅していた。
そこに現れた、小綺麗な騎馬隊の特殊三百人隊。副官にどこの隊か尋ねられ、”飛信隊”だと渕は答える。反対に自分たちは「玉鳳隊」であり、特殊三百人隊だという。
そして「そうか・・・諸君らがあの飛信隊・・・」と言うと、大声で笑いだした。同じ特殊三百人隊だと聞き警戒していたが、噂通りの農民兵であることに驚いたと嘲笑する。
「結局同じ三百人隊だろうが」と憤る信に対し、「同じなわけがないであろうが馬鹿者」と言い放つ。
そして、幼い頃から軍事教育を施された英才集団である玉鳳隊と、農工業を本業とした素人集団の飛信隊を同列とするなど不愉快極まりないと軽蔑の眼差しを送る。
「貴族か士族か知らねェが 戦が始まりゃ そんなもん関係ねェんだ!バカが」と息巻く信だが、副官が「全員気をつけェ!!」と怒鳴ると思わず姿勢を正してしまう飛信隊。
「そういうことだ 少しは理解できたか!?」と嘲わらうと、「ガマンの限界だ おっさん今すぐ馬から下りてワビ入れろ」と一太刀浴びせようとする信。
すかさず逆突きを喰らわせた玉鳳隊長は、「力の差を 身分の差を 飛信隊隊長覚えておけ」と吐き捨てる。
そして、「我が名は王賁」「ああ お前の大好きなあの王騎の一族 分家の王騎と違い 王一族の総本家を継ぐ王賁だ」と名乗りその場を去っていった。
泥臭い手柄
王賁の態度に怒りが収まらない飛信隊だが、信は手柄を上げることで見返そうと鼓舞する。玉鳳隊を出し抜くため、飛信隊は自分たちにしかできない苛酷な作戦を思いつく。
魏軍が布陣した戦線上は、深い霧に包まれていた。おまけに、連戦の屍は放置されている。そこで飛信隊は百人に数を絞り、霧と屍に紛れて敵本陣に忍び寄る。
途中霧が晴れ魏軍にバレそうになるも、なんとか玉鳳隊より先に本陣を落とした飛信隊。そこからは、互いに競うように二体は武功を上げ続ける。
そんな二隊の争いを観戦する、もう一つの特殊三百人隊「楽華隊」の蒙恬。”白老”蒙驁の孫であり、蒙武を父に持つ蒙家の跡取りだ。
その頃肆氏の屋敷には、異様な気配を漂わせる者たちが来訪していた。
王宮では呂氏に対抗する勢力の確保を、政陣営は模索する。それまで押し黙っていた肆氏は、勢力図を塗り替える第三勢力が存在すると提言。
その存在に気付く昌文君は遮るが、肆氏は「向こうから接触してきたとしたらどうする?」と問う。訝る政に肆氏は、「実は昨日 私の下に彼の城より使者が現れたのです」と話し出す。
その第三勢力は、咸陽にありながら閉ざされた城「後宮」だった。つまり、それは政の母・太后の勢力である。
未だ衰えない美貌を持つ太后は強烈な色香を放ち、男根を失った宦官たちが性欲を覚えるほどだった。本当に美しい太后であったが、人の温かみは全く感じられない。
かつて政治の素人である女人が朝廷に影響を与えた王朝は、全て滅亡の道を辿った。そのため太后勢力は、政(まつりごと)から遠ざけられていた。
偽の玉璽を使い、書簡を送りつけてきた太后。しかし、その中身は白紙だった。事の真意を確かめるため、政は一人母の待つ後宮を訪れる。
キングダム17巻感想・考察

知将・李牧に対し、根っからの商売人の交渉術で韓皋を譲らせた呂不韋。列国が恐れる李牧に対しても、一歩も譲りませんね。
秦趙同盟の祝宴の席で、趙将・馮忌を討った信を知らない訳はないと言った李牧。戦場での干央の粋な計らいにより、信は趙宰相・李牧にも名を知られる存在になったことがわかります。
馮忌撃破・王騎の矛継承により、信は早くも中華の最重要人物から認識されていますね。李牧に知られているということは、もちろん列国の要人からも目をつけられていることでしょう。
そして第17巻では信の同世代のライバル、王賁と蒙恬が初登場します。ともに王家・蒙家という名家の跡取りでありながら、対局的な二人。幼少期からの環境が、二人の人生にも大きく影響していることが後に描かれます。
また、17巻には政の母・太后も初登場。趙での人質生活から加冠の儀まで続く、長きにわたる政と母の確執も本格化していきます。
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