呂不韋と太后がかつて恋人同士だった過去が明かされる。飛信隊は王賁・蒙恬らと共に、魏軍・廉頗将軍との決戦前に激しく武功を争う。
後の飛信隊に大きな影響を与える郭備も登場する、第18巻のあらすじや感想を調査しました。
これから初めて読む人、最新刊に備えて復習したい人はぜひ最後までご一読ください。
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- 呂不韋と太后は17年前の恋人同士
- 呂不韋は太后と姦通する
- 魏軍の大将は元趙三大天・廉頗将軍
キングダム18巻ネタバレあらすじ・表紙も確認！
| 作者 | 原泰久 |
| 出版社 | 集英社 |
| あらすじ | 呂不韋と太后はかつての恋人同士だと発覚。 二人は裏で繋がり、姦通の罪を犯す。 全てを知った政は、一気に呂不韋陣営に攻勢 をかける。 前線では飛信隊が、同世代の玉鳳隊・楽華隊 と激しく武功を争っていた。 魏軍では元趙三大天・廉頗が大将となり、 一気に秦魏の戦は本格化していく。 |
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太后と呂不韋
政と母・太后が趙に囚われていた頃、敵国の王子を産んだ太后は政以上に厳しい風当たりを受けていた。荘襄王の秦脱出後”孤立無援”となった太后は全てを憎悪し、その矛先は我が子である政にも向けられた。
未だ関係に大きく影を落とす二人だったが、政は玉璽を取り戻すべく太后の元へ赴く。適当にかわす太后に見切りをつけた政は去ろうとするが、「私に何かお願い事をしに来たのかと思っていたけど」と太后は切り出す。
「どうか後宮勢力の力を私にお貸し下さい 母上」と願い出る政に、「相分かった」と答える太后。数日後”可”の返事が届くも、政陣営は恐らく裏があると読む。
後宮内では宮女の向が、太后と呂不韋の仲睦まじい姿を偶然見かける。「太后様の後宮勢力がこの呂不韋の傘下に入るということは 実の子であられる大王様と明白に敵対するということになりますぞ」という呂不韋。
政など知ったことではないという太后は、「いっそ根絶やしにしたらどうか」「そしたら私と丞相ーかつて十七年前の恋人二人が異国の地秦を乗っ取るっていう笑える話になるよ」と呂不韋に語った。
一連の話に衝撃を受け政に伝えようとする向だったが、宦官の短刀で腹を刺されてしまう。
”快楽の小部屋”に入り、呂不韋の上で狂ったように悶える太后。そんな太后を見る呂不韋は、かつて”邯鄲の宝石”と呼ばれた愛された絶世の美女”美姫”の面影はもはや残っていないと感じていた。
「美姫よ・・・」と呼ぶ呂不韋に、「その愛称で呼ぶんじゃないよ！」と怒る太后。そして、十七年前呂不韋と生涯添い遂げる約束をし至福の真っただ中にいた頃、突然秦の王族へ差し出された恨みを吐露する。
己の出世のための道具にされたにも関わらず、いまだ呂不韋に欲情を駆り立てられる太后は「この秦国の頂上で今度こそ二人夫婦になろうぞ！！」と訴える。
しかし呂不韋は、「やはりこの女・・・深入りは危ないのォ・・・」と心の中でつぶやくのであった。
向の密告
宦官に腹を刺された向は一晩這い続けて逃げ切り、なんとか親友・陽の元へ辿り着く。治療を受け出血多量はまぬがれたものの、高熱が下がらず二日目の昼も生死の境をさまよっていた。
「おそらく向は今晩までだ」と医者に告げられた陽は、決死の覚悟で政の力を頼ることに。型破りの行動力に感化された政は、急ぎお抱えの医師団を向の元へ向かわせる。
なんとか命をつないだ向は、政に「太后様と丞相は裏でつながっております」と大粒の涙を流して訴える。二人のかつての間柄や、”姦通”の可能性があることも伝えるとようやく眠りにつくことができた。
向により二人の関係を知った政は母の裏切りに傷つけられるが、未だ闇の中でもがく太后を不憫に思う。そして、徹底的に呂不韋を追い詰めることを固く決意する。
翌日、政陣営が流した”丞相と太后の不義”の噂に、呂不韋陣営は大きく揺れていた。急ぎ火消に回るが、政陣営から忽然と姿を消した三大宮家が呂不意陣営に現れたことで事態は更に大荒れに。
実子の敵である”呂不韋陣営”に”太后の勢力”が味方したことはあまりにも不自然で、噂は真実ではないかと呂不韋陣営は揺らぐ。この流れを受け、政は一気に呂不韋陣営を打ち砕くことを宣言する。
騒ぎが大きくなり警戒する呂不韋だったが、太后はお構いなしに求めに来る。一抹の不安を感じながらも、大きな賭けに出た呂不韋は秦国を我が物にするため、政の攻勢に受けて立つことを誓う。
魏大攻略戦
対魏大攻略戦の準備が整った前線地帯では、総大将を”白老”蒙驁が任されていた。そして飛信隊は、蒙驁率いる本軍の前方の座を射止める。しかし、玉鳳隊は最前列を奪っていた。
悔しがる信たちだったが、そこへ「もっと気楽に行こーよ 先は長いんだし」と楽華隊・蒙恬が現れる。柔和な雰囲気で場を和ませるも、握手を交わした瞬間信はとてつもない強さを感じる。
最初の城”高狼”に到着し、包囲する秦軍。強固な城壁と巧みな防御術の前に苦戦を強いられるが、蒙驁は慌てる様子なく「一か月は攻め続ける作戦である」と全軍に伝える。
秦軍の士気が下がり十一日目を迎えると、突如動き出した玉鳳隊。城壁の前を煙幕で取り囲むと、持ち込んだ井闌車で一気に城壁の上へ駆け上がる。
拠点を作った玉鳳隊は壁長を狙うことなく、城門へ縄で降り立ち開門までこぎつける。しかし空いた城門からは何故か蒙恬が雪崩れ込み、電光石火の早業で落城へこぎつけてしまった。
これに怒り狂う玉鳳隊だったが、やはり蒙恬はのらりくらりとかわしていくのだった。
戦の現実
玉鳳隊と楽華隊が争う中、取り残される飛信隊と信。「敗者と話すことなどない」と吐き捨てる王賁に難癖をつけていると、街からは火の手が上がる。
「俺達が関わることじゃない」という蒙恬を振り切り現場に向かった信たちは、街を焼かれ凌辱の限りを尽くされる民間人を目にする。「何やってんだてめェらァ！！！」と怒り狂う信だったが、渕に止められてしまう。
同士討ちは重罪であり、これが現実であることを突き付けられる。「俺だって分かってる・・・戦がきれいごとじゃねェことくらい・・・」と悔しさを滲ませる信。
信を抑えるため渕は”敵が降伏した後の蹂躙行為は軍律違反である”と訴えるが、千人将・乱銅は「”犯す・奪う・殺す”これが勝者に与えられる特権だ」と憤る。
我慢できず乱銅に斬りかかった信に、蒙恬が「やめろ 信！」「千人将なんか斬ればお前は全てを失うぞ 全てをだ」「お前の大将軍への思いはそんなものか」と止めに入る。
なお乱銅は挑発を繰り返し、「てめェみてェに現実知らねェ正義漢気取りが一番ムカつくんだよ」と信に剣を向ける。次の瞬間、信はついに乱銅を斬り捨ててしまった。
騒然とする現場だったが、信は「飛信隊の信はどんな理由であろうとクソヤロォは絶対許さねェ！！」「これまでも これからも ずっと変わることのねェ俺の戦り方だ！！」と断言する。
「処罰が怖ェからってこんな状況を見て見ぬふりなんざして 何が天下の大将軍だ！！」と信が吠えると、飛信隊も賛同し民間人の助けに入った。
斬首を覚悟した信だったが、なぜか”信は一夜投獄”・”乱銅隊は尋問”という処罰が下る。王賁は「お前の仕業か」と蒙恬に尋ねると、「俺はお前と違って祖父や父の威光を利用することの何ら抵抗ないからね」と答た。
元趙国三大天・廉頗
秦の魏侵略が進み魏国王都・大梁では、亡命した元趙国三大天・廉頗が動きだしていた。
信の初陣・蛇甘平原の戦いが繰り広げられていた頃、趙軍対趙軍の大きな戦が勃発。ことの発端は趙王に即位した悼襄王の素行を、廉頗が諫めたことにあった。
心底廉頗を恨む悼襄王は、理不尽な更迭を決行。それを拒否した廉頗は、五万の軍と戦うことに。圧倒的強さで一掃した廉頗は、「悼襄王はダメじゃ」とあっさり切り捨てる。
「そんなに軽かったのですか！？ 趙国への思いは！」と問われた廉頗は「戦への思いの方がはるかに思い！」と答え、生え抜きの将校たちを連れ魏に亡命してしまった。
亡命から三年、一度も魏軍を率いようとはしなかった廉頗だったが、ついに戦場に立つ意思を示した。
開戦から一月たち、秦軍蒙驁は三つ目の城攻略にとりかかっていた。もちろん飛信隊・玉鳳隊・楽華隊は武功を争うが、本軍の主力級・郭備千人将など実力者も参戦し始めていた。
玉鳳隊・楽華隊より武功を上げ祝杯をあげる飛信隊の元に、千人将・郭備が通りかかる。「君が信か フッ 思ってた通りの風貌だ」と笑みを浮かべる。
そして、「君は下僕の出らしいな それを耳にしてからずっと君に伝えたいことがあった」という郭備。またバカにさせると思い「ンだよ言ってみろよ」と訝る信。
そんな信に対し、郭備は「この郭備も下僕の出身だ」と告げる。士族に入った経緯は異なるものの、境遇からずっと信を応援していたことを伝え激励する。
そして「この隊は間違っていない そのまま進め」「貴士族になんか負けるなよ 信」と言葉をかけ、去っていった。知・武・勇全て揃い人望も厚い郭備からの温かい言葉に、飛信隊はすっかり感化されていた。
しかしそんな郭備は、その夜廉頗四天王・輪虎に命を奪われてしまうのだった。
キングダム18巻感想・考察
呂不韋と太后は、十七年前生涯を誓い合った恋人同士だったことがわかります。にもかかわらず、ある日突然己の出世のため呂不韋から荘襄王に差し出された太后。
大きく運命を狂わされた恨みを抱えつつも、未だ呂不韋への思いを捨てきれずにいることがわかります。我が子の政すら愛せなくなるほど、太后の心を壊した呂不韋の魅力とは一体何なのでしょうか。
宮女・向の活躍で、かつて二人が恋人同士だったことを知った政。今回の奇行は、全て呂不韋を誘いだす目的だったことにも気づきます。
高狼城を攻め落とした後、信たちは民間人が秦軍に蹂躙・凌辱の限りを尽くされている姿を目にします。千人将・乱銅を斬り同士討ちの重罪を冒してでも、信は「クソヤロォは絶対に許さねェ！！」と自分の意思を貫きます。
”大将軍の夢”と”戦の現実”を天秤にかけても、弱き者を守る信はやはり大将軍の器を持ち合わせていると言い切れますね。これまで見て見ぬふりをしてきた蒙恬も、心を動かされていることが分かります。
また第18巻には、今後飛信隊の大きな力となる郭備隊も登場します。農民兵である飛信隊を嘲笑する秦兵も多いですが、同じ下僕出身の郭備は大きな心の支えとなっているはずです。
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