李牧率いる楚・趙・魏・韓・燕合従軍による、秦国侵攻が開始。昌平君の作戦により、飛信隊ら秦軍と合従軍の函谷関攻防戦がついに開戦を迎える。
昌平君の”山陽攻略の意図”を見抜いた李牧と春申君による合従軍との戦が描かれる、第25巻のあらすじや感想を調査しました。
これから初めて読む人、最新刊に備えて復習したい人はぜひ最後までご一読ください。
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- 山陽攻略により李牧は合従軍を興す
- 蔡沢の外交で斉は合従軍を離脱
- 昌平君は決戦の地を函谷関に決定
キングダム25巻ネタバレあらすじ・表紙も確認！
| 作者 | 原泰久 |
| 出版社 | 集英社 |
| あらすじ | 楚の防衛壁”南虎塁”陥落後、趙・魏・韓・燕・ 斉は合従軍として一気に秦へ侵攻。 蔡沢の外交により斉は離脱するも、昌平君は 決戦の地を函谷関とし防衛戦が始まる。 麃公軍による突貫攻撃が始まり、ついに決戦 の火蓋が落とされる。 |
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合従軍
超大国楚により瞬く間に抜かれた、秦の”南虎塁”。秦楚の国境前線には、蒙武と張唐二人の豪将を配置していたが、楚は二人を避けわざわざ攻めにくい南虎塁を抜いてきた。
防衛線の内側に侵入され現場の蒙武と張唐は封鎖すべく全速力で走っていたが、楚軍が今にも裏を取りそうな勢いで迫る。しかし、その先には王騎残党軍が待ち構えていた。
一方秦達のいる東の前線にも、楚軍侵略の急報が入り飛信隊は急ぎ戦場へと向かっていた。しかし、その道中秦へ向け行軍する魏の大軍を目撃。
急ぎ追い始めるが既に対魏防衛地帯の城”沙紀城”を落とされ、その先の”剛陵城”の落城も目の当たりにする。
その頃咸陽でも、魏軍の侵攻が報告されていた。李牧と楚の動きを警戒する昌平君だったが、その時”趙軍・馬陽に侵入”の急報も入る。
”三国連合”を全軍で止めようとする政だったが、更に燕軍・韓軍・斉軍も大軍で秦へ侵攻していることが判明。ついに”合従軍”が動き出したことに、本殿は愕然とする。
昌文君は、四十年前に当時東の超大国”斉”が”燕”の大将軍・楽毅率いる六国合従軍に攻め入られた話を持ちだす。その結果、斉はわずか二城のみ残し、他の全ての土地を失っていた。
昌文君と昌平君は合従軍対応策に冷や汗をかくが、残りの臣たちは既に諦め始めていた。しかし政は「今ここにいる三十人ほどが秦国全国民の命運を握っているのだ」「戦うぞ！！」と檄を飛ばす。
そして昌平君は、敵の合従軍に楔を打ち込む一手として”斉”に狙いをつける。
外交の仕事
その頃遠交のため東に張っていた蔡沢は、斉王に謁見するため急ぎ馬車を飛ばしていた。
「わしに何用か」と問う斉国王・王建王に、蔡沢は率直に「斉王様におかれましては 趙宰相・李牧に 一体いくらで買われました？」と尋ねる。
「結局”戦争”など所詮大金を手にするための”仕事”だろうがよ」と答える王建王に、蔡沢は更に「一体いくらかと聞いておるのです」と聞き返す。
「得た信の土地・食品・人はそれぞれの出した軍の規模で割って分配するらしいからなァ」との答えに、蔡沢は「その倍の額をこの蔡沢がお約束しますぞィ」と持ち掛ける。
王建王は「下手をうったな蔡沢」と答えると、「倍額など出さずともその話に乗ったものを」とすぐに合従軍離脱の早馬を出させる。
戦わずして斉離脱に成功した秦だったが、大きく戦況が変わったわけではない。それでも、合従軍の背後に”憂う存在を出現させること”ができたのは大きな成果だった。
昌平君は最も侵攻している魏軍の対処を急ぐが、既に自軍の判断で駆け付けた麃公軍が防衛戦を開始。対する魏軍は、麃公に父・呉慶を討たれた呉鳳明が指揮をとっていた。
早速すり潰しにかかる呉鳳明だったが、すかさず飛信隊が割って入る。「もっと面白いことをやろう」と策を動かし始めた呉鳳明に対し、追い始める飛信隊。
しかし麃公は全軍を止め、「これより先は臭くてかなわん」と引き返すことに。本能型の麃公は”魏軍本陣からのただならぬ策略の臭い”を感じ取るも、名だたる武将が魏にはいないはずだと疑問に感じていた。
飛信隊の宿営を訪れた麃公は、信に応援の感謝を伝えるとともに「下手をすれば秦という国が無くなるであろう」と告げる。
魏軍防衛に挑む”麃公軍と飛信隊の本能型の戦い”を目の当たりにした呉鳳明は、父・呉慶が討たれたことに納得していた。しかしその現場には、李牧率いる趙軍が迫っていた。
李牧と合流した呉鳳明は、”合従軍の起案者は李牧であるものの、従属したわけではなく魏・趙軍は互いに同列”であると釘を刺す。
そして、「貴殿はこの戦をどこまでやるおつもりか？」と尋ねる呉鳳明に、李牧は「もちろん秦国が滅ぶまでです」と明言した。
一堂に会す
咸陽では昌平君らが、対合従軍に対する”わずかに光明に感ずるたった一つの策”をついに練り出すことに成功。そして、招集した秦の抱える名だたる将軍全員に作戦を発表した。
その頃合従軍では魏・呉鳳明、燕・オルド、楚・汗明、韓・成恢と、楚宰相・春申君、李牧が一斉に会していた。
楚軍は汗明がいるにも関わらず、宰相・春申君がいることに疑問を感じる呉鳳明。その理由は、合従軍の総大将を務めるためだった。
李牧の呼びかけであるため参戦した燕・オルドは、「大将は李牧ではないのか？」と訝る。オルドを制すため、あくまで”戦を描き参謀を務めるのは自分である”と李牧は名言。
形が成った合従軍は、ついに李牧の作戦で動きだす。
その頃合従軍を迎え撃つ咸陽でも、作戦が発表されていた。昌平君は合従軍の侵略を止める手立てが一つもないことを前置き、これまでの防衛戦を全て撤廃し咸陽の入り口・国門”函谷関”での戦いを発表。
函谷関は周囲を山岳に囲まれる天然の要塞で、過去一度も抜かれたことはなかった。そのため、咸陽は中華一の不落の城といわれているのだ。
昌平君は王騎の死後”刃のようにとがった部分が落ち着き、内に凄まじい闘気を渦巻かせる”ように変わった蒙武を、”最も血を流させる位置”に配置。
「すまんな蒙武」と謝る昌平君に「望む所だ」と答える蒙武は、「お前にしては珍しくぬかったな」といった。
「俺の落ち度だ」と答える昌平君は、「それ以上に俺がたかをくくっていたことが大きい」「まさか”山陽攻略の真意”を見抜く者がいるとはな・・・」といい苦笑いを浮かべた。
合従軍では、李牧が「山陽奪取から東群宣言のあの”山陽の一手”は中華全土を盤場とした戦いでの詰みの一手に近かったのです」と皆に打ち明ける。山陽は魏の要所ではあるが、なぜ中華の詰みになるのか疑問を呈すオルド。
もちろんそうなるのは何十手も先の話であることを前置き、”拠点から拠点へ秦の侵略は全土へ拡大”し気づいたときには列国はなす術なく飲まれてしまうと答える李牧。
そしてそれに気づいていたのは李牧と春申君の二人だけであり、その盤場を潰すため合従軍は興されていた。
開戦の口火
決戦の地に集まる秦軍の中に、信は謄軍に配置された蒙恬と王賁の姿を見つける。秦の危機を「上層部の失態だ」と罵る王賁に、信は「これが”戦国”だろ」と笑みを見せる。
この戦で三千将を目指すことを宣言する信だったが、王賁は”五千将”と更なる高みを目指すことを名言。王賁は既に、五千将の先・将軍を見据えていた。
函谷関には桓騎軍と張唐軍・対趙軍には麃公軍、楚軍には謄軍が配置されいよいよ開戦の時を迎えようとしていた。
合従軍では楚軍総大将・汗明が、全軍に檄を飛ばし始める。そしていよいよ”開戦”の号令を出そうとした瞬間、かき消すかのうように麃公が突如突貫攻撃を始め函谷関の攻防が始まった。
キングダム25巻感想・考察
合従軍が興き、外交の力で斉を離脱させた蔡沢。斉国王・王建王も、「王騎・劇辛という大物喰いはまぐれではない」と一度会っただけで李牧の恐ろしさを理解するも、長い付き合いの蔡沢の交渉に乗ります。
蔡沢の外交力はもちろんですが李牧の危険性にいち早く気づき、王建王は彼に力を持たせることに危機感を感じていることがわかりますね。
函谷関での防衛戦では、昌平君が蒙武を最も犠牲を出させる位置に配置します。王騎の死後、”刃のようにとがった部分が落ち着き、内に凄まじい闘気を渦巻かせる”ように変わった蒙武。
蒙武が最も信頼できる武将であるからこそ、この重要な位置に昌平君は配置しています。二人の熱い信頼関係を、感じさせられますね。
中華統一の第一歩となる山陽戦、この意図に気付いた李牧との函谷関攻防戦がいよいよ次巻本格化していきます。
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